ソフトボールッ

冬の日の太陽は高度が低くて、フライを捕る時に絶望的な力を発揮する。
ピッチャーが投げるまでの間バッターを見てるのが眩しい。
バッターが打ってフライが上がる、上がった瞬間落下地点周辺に着く俺。ボールの影と太陽が一体化・・・・・みっ見えない!
中学時代に培われた太陽光に屈しない俺の瞼は、瞬きすらしない。確実にボールがあるだろう太陽の光のど真ん中を見続けた。
しかし、いつまで経ってもボールの影は太陽から外れない。





来たっ!ボールの影が太陽から外れた瞬間を見切った。だが高度は3m程。と・ど・か・な・い
目には太陽の光が焼きついて中央が緑に見える。俺の頭上を越えたボールを追うが中央が見えないからボールも見えない。
何とか拾って振り向きざまにボールを投げる。立ち位置と方向の感覚だけでセカンドに投げてみた。どうやらまだ勘は鈍ってないようだ。しっかりセカンドがキャッチ。ランナーは手を抜いて走ってたらしく、セカンド止まり。
周りは俺を悪く言わないが、脳が俺を悪く言う。「何故捕れない!ヘタクソ!元野球部が!消えてしまえ」一通り脳が勝手に侮辱し終わると、俺自身が憤りに駆られた。
出来る事が出来ないときに感じる怒りが強烈な俺。そっとしておいてくれ。